貸倒制度の明確化求む 再生債務者支援の税制改正要望

一般社団法人事業再生研究機構(JABr)税務問題委員会は「令和8年度税制改正に関する要望」を公表した。再生債務者に対する金銭債権の貸倒損失処理について、税務上の取扱いを制度的に整備し、再生支援の実効性を高めることを主張している。

要望の中心は、国外債務者に対する金銭債権について、外国法に基づく再生手続の開始や計画認可等があった場合に、税務上の貸倒損失処理を明確に認める制度の創設にある。現行制度では、国内法手続に比べ、国外手続による債権削減に関して、損金算入時期や要件が不明確であるため、実務上の支障や税務上の不確実性が存在している。

これを是正するため、債務者に対する権利放棄や回収不能の認定に合理的な根拠を与える法的整備が求められている。こうした整備は、国外債務者に限定せず、国内外の債務者を含めた広範な制度設計とすべきとの含みをもっている。すなわち、再生手続の法的段階や債務削減措置が進んだ段階において、一定の条件下で貸倒損失の計上を可能とすることで、債権者が再生計画に積極的に関与しやすくなる環境を整えるべきと主張されている。

この制度により、債権者は課税上の不確実性や調査リスクを低減でき、債務者も債権者との調整が進めやすくなるとしている

■参考:事業再生研究機構 税務問題委員会 |事業再生に関わる令和8年度税制改正要望|

https://jabr.smoosy.atlas.jp/files/10322