本調査は、2024年10月から半年間における中小企業の価格交渉および価格転嫁の実態を把握するもの(対象企業は約30万社、回答企業多数)。その結果、全体の価格交渉実施率は31.5%と前回より約3ポイント増加し、発注企業からの申し入れによる交渉も増加傾向を示して交渉環境は前進していることがわかった。
さらに、価格転嫁率は52.4%に達し、コスト上昇分を転嫁できた企業が過半数に達した一方で、転嫁が進まない企業も一定数残存している。
特に「全く転嫁できなかった」企業が約2割存在する点は依然として課題である。業種別でみると、〈宿泊業〉7割以上の転嫁に成功した事業者は18ポイント増(8%→26%)。一方、全く転嫁できなかった事業者は減少するも21%残存。〈サービス業〉高い転嫁率(7割以上が42%、前回比+14ポイント)。〈小売業〉50%が7割以上を転嫁、一方で転嫁できない割合が増加。〈卸売業・製造業・建設業〉いずれも7割以上転嫁した割合が20ポイント超増加し、低迷層の割合は減少。〈運輸業など〉未提示の詳細あるが、小規模業種の苦戦が示唆される。
これらにより、特定の業種では大幅な改善が見られる一方、零細企業や競争が激しい分野では転嫁が十分進んでいない二極化の構図が鮮明になった。
■参考:中小企業庁|価格交渉促進月間(2025年3月)フォローアップ調査の結果を公表します|
https://www.meti.go.jp/press/2025/06/20250620003/20250620003.html