2025年版「ものづくり白書」は、経済産業省、厚生労働省、文部科学省の三省が共同で作成し、このほど閣議決定された報告書である。我が国製造業の現状と課題を分析し、産業競争力の強化に向けた政策の方向性を示している。
2024年の製造業は半導体や自動車需要を背景に生産が回復基調にあるが、原材料高や人手不足といった課題も残る。就業面では高齢化が進み、若年層の割合が低下。人材確保のためには若者の関心喚起や女性・高齢者・外国人材の活用が求められる。研究開発投資は増加傾向にあり、DXや脱炭素技術への注力が進む。製造業のDX推進により、スマートファクトリーやサプライチェーンの最適化が期待され、中小企業向けの支援も拡充されている。
一方、経済安全保障の観点では、半導体や電池等の供給網強化や先端技術保護が課題であり、政府は投資促進と規制緩和を進めている。また、脱炭素社会の実現に向けたGXの推進も重要であり、再生可能エネルギー導入や省エネ技術開発が進められている。これらの施策を総合的に推進することで、我が国製造業の競争力強化と持続的な成長が期待される。今後も、産業構造の変化や国際情勢の動向を踏まえた柔軟な対応が求められる。
■参考:経済産業省|「令和6年度ものづくり基盤技術の振興施策」(2025年版ものづくり白書)を取りまとめました|
https://www.meti.go.jp/press/2025/05/20250530001/20250530001.html