不正利益による財産の没収 憲法29条違反ならず

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本件は、被告人が財産上不正な利益を得る目的で商標法違反の犯罪行為を行い、得た財産を他人名義の銀行口座に預け入れ、犯罪収益の取得を仮装した事案。この預金債権の没収が争点となった。まず、改正前の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「法」)13条1項6号が適用され、犯罪収益及び犯罪収益に由来する財産全体の没収が可能と判断されたが、被告人は、正当な経済活動により得た財産の没収が憲法29条に違反すると主張。

最高裁判所は、法は、犯罪収益が組織的な犯罪を助長し、事業活動への干渉が健全な経済活動に重大な悪影響を与えることを重視し、犯罪収益の隠匿や剝奪を目的とする。具体的には、犯罪収益の保持・運用が将来の犯罪活動に再投資されるおそれがあるため、その収益と他の財産を混和した場合でも、全体の没収が認められる。

さらに、法10条は、犯罪行為に関わる財産について、広く没収を認める規定となっていることから、犯罪行為を予防し、将来の犯罪活動への再投資や合法的経済活動への悪影響を防ぐことが可能となっている。以上により、憲法29条に違反せず、実質は単なる法令違反、量刑不当の主張であり、刑訴法405条の上告理由に当たらないとした。

■参考:最高裁判所|組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条の犯罪行為により生じた財産等を没収できるとする同法13条1項6号と憲法29条(令和6年12月17日・第三小法廷)|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=93624