書籍『地域医療の経済学』日本の医療体制の課題指摘

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井伊雅子著『地域医療の経済学』が、地域医療の質、費用、ヘルスリテラシーの効果を経済学の視点から分析した書籍として、財務省広報誌「ファイナンス9月号」に紹介されている。本書は地域住民の安心感を高めるために必要な情報やサービスを解説し、日本の医療体制の不備を指摘している。

内容は東京の地域医療、現代日本の地域医療の現状と課題、日本の医療の質、医療費やヘルスリテラシー、医療体制の国際比較などで構成され、巻末には、地域医療を重視した評価指標も掲載されている。

国際比較調査グループISSPが2021年に実施した調査によると、日本ではインターネットで「健康・医療」情報を収集する人が多く、医療制度や医師への信頼も高いとされている。しかし、医療に特有な「情報の非対称性」が信頼の高さに影響している可能性があると著者は指摘。日本の医療体制の改善には、家庭医制度の導入やメンタルヘルスケアのデータ整備が必要だと述べている。新型コロナウイルスの影響で、日本人の医療リテラシーの向上につながった部分も指摘した。

本書は、日本の医療体制の質向上に向けて、統計情報の整備や評価体制の確立を行い、政策評価制度の改革や医療・介護の政策評価に国としてもっと資源を割くべきだと提案している。

■参考:財務省|井伊 雅子著『地域医療の経済学』医療の質・費用・ヘルスリテラシーの効果|

https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202409/202409j.pdf