厚生労働省は悪質化するカスタマーハラスメントに対応すべく、労災認定基準の改正の検討に着手していたが、9月1日付で新しい認定基準へ改正が行われた。
昨今、顧客や取引先による従業員に対する悪質な迷惑行為が後を絶たない。いわゆるカスタマーハラスメントにより、現場の従業員が著しい心理的負荷を受けることも少なくない。すでに国土交通省はカスタマーハラスメント防止のために、バスやタクシーの車内において義務付けられていた運転手の名前の掲示を乗客側から見えない様式に変更している。
厚生労働省は「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」での検討を重ね、改正後の「心理的負荷による精神障害の認定の基準」を都道府県労働局長宛に通知した。これにより具体的出来事にカスタマーハラスメントが追加されたほか、それらの行為の6類型すべての具体例や性的指向・性自認に関する精神的攻撃等を含むことを明記。また、心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例を拡充したほか、感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事したことなども追加された。
同省では、業務により精神障害を発病した労働者について、改正後の基準に基づき、労災補償を行う考えだ。
■参考:厚生労働省|心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました|
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34888.html