税制調査会は、令和3年11月に岸田総理から、公平かつ中立的で新たな時代の動きに適応できる税制の具体化に向けた基本ガイド的資料作成の諮問を受け、このほど「わが国税制の現状と課題―令和時代の構造変化と税制のあり方―」にまとめ答申した。
275ページに亘って、図解を多用し、税とは何か、租税原則や我が国の税制の歴史、働き方やライフコースの多様化、経済のグローバル化、デジタル化、格差社会、少子高齢化など、経済社会の構造変化を捕らえた現状と課題を中長期的視点で網羅している。岸田首相は令和時代のあるべき税制の検討をさらに進めたいとした。
最終部の「今後の課題」として「租税回避スキームについては、従来の簿外取引や仮装・隠蔽と異なり、通常では用いられない取引や事業体を実際に作出・経由するなどして、積極的に法令上の規定に適用させることで税負担の減免を図ることが多く、現行の法制度においては適法であったとしても、これが放置され、適正な課税が行われない場合、課税の公平を損ない、納税者の信頼を揺るがすこととなります。このため、租税回避スキームの開発・販売や利用等に関する実態を把握するための執行面での対応を強化していくことが重要です。」とのまとめが目を引く。
■参考:税制調査会|令和5年6月「わが国税制の現状と課題―令和時代の構造変化と税制のあり方―(税制調査会)|
https://www.cao.go.jp/zei-cho/shimon/5zen27kai_toshin.pdf