日本商工会議所は、昨年取りまとめたレポート「求められる『少数精鋭の成長モデル』への自己変革」に対応して取り組み、成果を上げている全国の中小企業19社を紹介した「3つのチャレンジ事例集」を作成した。同レポートをまとめた背景には、中小企業の人手不足が一段と深刻化している状況があり、日商には「今後数十年にわたり生産年齢人口の減少が続くとされ、何も手を打たなければ企業活動などを維持することも危ぶまれる」との危機感が強い。
同レポートは、中小企業が求められる「チャレンジ」として、徹底した「省力化」「育成」「多様性」の3点を挙げ、具体的な取組みの方向性を示した。省力化では、飲食店の経営、食材加工を手掛ける「札幌開発」(札幌市)を取り上げた。焼き鳥チェーン「串鳥」を北海道内で展開しているが、まず機械化・効率化が可能な業務の洗い出しに着手。串打ち機やつくね生産機の導入で効率化を図るとともに、食材調達先の調整などで生産工程を簡略化した。
育成では、空調機器関連製品の設計・部品加工などを業とする「島田工業」(群馬県伊勢崎市)を紹介。2週間に1回、チームごとの改善活動を発表する機会で出された内容を社長が必ず褒め、より積極的に意見が出る状況を作って働きがい向上も狙った。
■参考:日本商工会議所|「求められる『少数精鋭の成長モデル』への自己変革 3つのチャレンジ事例集」を作成|