経済産業省・中小企業庁は、2023年版の中小企業白書および小規模企業白書を取りまとめた。足もとの新型コロナ感染や物価高騰、深刻な人手不足など、中小企業・小規模事業者を取り巻く環境が引き続き厳しい中、企業の中長期的な成長に向け、競合他社と異なる価値を創造するための戦略」と、構想と実行の核である「経営者」に着目。価格転嫁に加えGX(グリーントランスフォーメーション)といった構造変化も新たな挑戦の機会と捉えた投資の拡大等に取り組み、生産性向上や賃上げを促進していくことが重要と指摘した。
「戦略」では、差別化を進めて競合他社が少ない市場で成長を実現している例として直径0.03㎜といった極細の円筒・円錐状のピン製造を手掛けるアルファーテック(横浜市)を挙げた。同社は、直径2~3㎜超の「太い領域」を得意とする同業者が多いことに着目、「細い領域」のピン製造に特化した。競合他社が行っていない特殊な形状や材質の加工にも対応できるようになり、20期連続で黒字を計上している。
「経営者」のうち経営資源・体制の確立では、明確な人事戦略で教育研修体制、人事評価制度を構築、07年比で従業員数が約5倍、売上高も約4倍に増加した加和太建設(静岡県三島市)を好事例に挙げた。
■参考:中小企業庁|2023年版中小企業白書・小規模企業白書をまとめました|
https://www.meti.go.jp/press/2023/04/20230428003/20230428003.html