教育格差と言えば、一般的に小中学生の学力差や大学進学率等を話題の中心にしている。ところが、多くの会社を訪問して気づく事であるが、同様の格差が会社の社員教育にもあると思われる。社員教育に力を入れている会社もあれば、仕事上の教育以外は全く関心のない会社も多くあり、必ずしも事業規模に比例しない。
近年の社員教育は、従来の新入社員教育中心から各種職務教育を幅広く実施したり、IT技術やテレワーク技法等を教育したりしている。社内スタッフで教育が出来ない場合は、外部教育機関に委託する。
X社(住宅建設業)では、入社1年間は自社教育プログラムにより社員教育を全員一律に実施している。2年目からは担当部署や本人の希望業務に応じて選択出来るプログラムを用意している。選択肢が20種類ほどあり、例えば「営業力向上研修」「IT技術研修」「英会話」等、数種類を選択する。特定テーマの勉強会を立ち上げる事も可能だ。社員教育の格差は、やがて会社の人材力格差や経営力格差になって行く。社員が常に問題意識を持ち、経営上の課題を発見して計画的に解決する能力を身に付けるようだ。筆者の概観であるが、社員教育に熱心な会社は、景気や需給状況の変化に応じて長期的な発展を続けると確信する。