権利の濫用として許されない 差し押さえられた携帯等の還付

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司法警察員が申立人から差し押さえた申立人所有の携帯電話機等について、申立人が、刑訴法222条1項が準用する同法123条1項に基づき東京地検検察官に対して還付を請求。

同検察官が還付をしない処分をしたため、同法430条1項の準抗告を申し立てたが棄却された。これを受けて特別抗告を申し立てた事案で最高裁第一小法廷は本件各決定抗告を棄却した。最高裁は差し押さえに至った事情を総括、「以上のような事情の下においては、申立人が本件各不還付物件の還付を請求することは、権利の濫用として許されないというべきである。これと同旨の理由により検察官のした本件各処分を是認した各原決定は相当。刑訴法434条、426条1項により裁判官全員一致の意見で主文の通り決定する」と断じた。

申立人は、いわゆるナンパの方法を指導する塾を経営し、女性との性交場面を撮影した動画等を塾生のグループ内で共有するなどしていた。不還付物件は携帯電話機2機とICレコーダー。集団準強姦被疑事件や準強制性交等被告事件、準強制性交等被疑事件に関するもの。携帯の1機は、準強制性交等被告事件に関するもので、申立人は有罪判決が確定。検察官がデータの消去に応ずるのであれば還付するといった申し出に、難色を示し続けたという。

■参考:最高裁判所|捜査機関による押収処分を受けた者の還付請求が権利の濫用として許されないとされた事例|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91328