「百戦して危(あや)うからず」という言葉がある(孫子の兵法)。戦う相手の実態を知り、且つ己(おのれ)の実態を知れば、何回戦っても勝つというものだ。
会社の経営であれば、自社の実態を知っているか、競合会社・取引先・顧客等の実態を知っているかの組合せによる。一番良いのは己も相手も知っている事、次が己を知っているが相手を知らない又は己を知らないが相手を知っている事、一番困るのは己も相手も知らない事である。
X社(衣料品小売業)は、毎年決算後経営診断を実施している。決算後に経営診断をする企業は珍しくない。しかし、X社では診断後、日頃情報収集している仕入先・競合店・顧客データ等を分析し、経営コンサルタントと社長を講師にして勉強会を数回実施している。さらに、参加者全員が経営上の問題点とアイデアをレポートによって提出し、各年度の経営計画策定に活用している。X社は10年前まで取引先や顧客分析をしていたが、市場環境や取引先の経営事情等によって己の経営対応が定まらなかった。今は、経営診断と勉強会によって己の実態が明確に把握出来、仕入先や顧客の変化対応が的確になった。
相手を知ることは大切であるが、それ以上に己の強み・弱み・欠点等の実態を知る事が勝利への道である。