蘭仏英の合同会社が日本法人を新規設立し、日本で行っていた音楽事業を集約する構想を計画、資金面を含む国際的な大組織再編を実行した。
誕生した日本法人(被上告人)が発足後5事業年度の法人税の確定申告において、同じ企業グループに属する企業からの金銭借り入れに係る支払利息の額を損金の額に算入したところ、麻布税務署長が、同族会社等の行為又は計算の否認に関する規定である法人税法132条1項を適用し、損金算入の原因となる行為を否認して所得の金額につき支払利息の額に相当する金額を加算し、各事業年度に係る法人税の各更正処分と過少申告加算税の各賦課決定処分をした。
法人側が取り消しを請求している事件で最高裁第一小法廷は、本件借り入れは法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」には当たらないとして法人側の主張を認容した原審の判断を是認、上告を棄却した。「容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるか否かが争点。最高裁は、一連の取引の一環として行われた金銭消費貸借契約に関する諸事情を総合的に考慮すれば、不自然、不合理なもの、経済的合理性を欠くものとはいえないとした。
■参考:最高裁判所|組織再編成に係る金銭の借入れが法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」には当たらないとされた事例(令和4年4月21日・第一小法廷・棄却)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91112