公認会計士・監査審査会は7月9日、「令和3年版モニタリングレポート」を公表した。モニタリングレポートとは、同審査会が実施する監査事務所に対する審査及び検査等の状況と成果とともに、監査業界の現状や環境変化への対応等を分かりやすくまとめたもの。毎年7月に公表される。
令和3年版によると、依然として監査業務収入の80.9%が大手監査法人(4法人)に集中しているものの、近年では監査証明業務数、監査業務収入等における大手監査法人の割合は減少傾向にあるとしている。これを裏付ける形で会計監査人の異動件数は過去5年間で最多の209件にのぼっており、大手監査法人から準大手監査法人以下への異動傾向が続いているとした。
異動理由は、令和元年6月以降、「任期満了」のみとするケースは大幅に減少し、特に令和3年6月期では、会社の事業規模に適した監査対応と監査費用の相当性を他の監査法人と比較検討した結果、会計監査人の異動に至った旨を記載している企業が多かったとしている。また、異動前後の監査報酬については、より規模の小さい監査事務所へ異動した場合に監査報酬が減少するケースは約7割であり、このうち大手監査法人から中小規模監査事務所への異動の場合には約9割で監査報酬が減少している。
■参考:公認会計士・監査審査会|「令和3年版モニタリングレポート」の公表について|
https://www.fsa.go.jp/cpaaob/shinsakensa/kouhyou/20210709/20210709-2.html