医療観察法の抗告理由に不該当 再抗告を棄却―最高裁

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「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(医療観察法)に基づき入院中の者が、裁判所に対して入院継続について確認を求めたところ、継続すべきことを確認する旨の決定があった。

これを不服として抗告したが棄却。これを受け、同法による処遇制度は憲法に違反するとして再抗告した事件で最高裁第三小法廷は、同法71条1項の抗告理由に当たらないとして、裁判官全員一致の意見で再抗告も棄却した。

本件抗告の趣意のうち、医療観察法による処遇制度に関し憲法14条、31条、34条違反を主張している。この点に関し最高裁は、同法による処遇制度が憲法のこれらの規定に違反しないことは、当裁判所の判例(平成4年7月1日大法廷判決など)の趣旨に徴して明らかであり、理由がないと否認。また、憲法18条後段、36条違反をいう点に関しては、同法による処遇は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対し、同行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するために、医療等を行うものであるから前提を欠く、と同様に否認。その余は、憲法違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反の主張に過ぎないと断じた。

■参考:最高裁判所|刑事施設に収容されている者が収容中に受けた診療に関する保有個人情報は,行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律45条1項所定の保有個人情報に当たらない(令和3年6月15日:第三小法廷)

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90390