日本公認会計士協会は10月12日、監査基準委員会研究資料第1号「「監査上の主要な検討事項」の早期適用事例分析レポート」を公表した。
2021年3月期の強制適用を前に、有価証券報告書における早期適用事例48社の分析を行ったものである。それによると、連結財務諸表の監査報告書に記載されたKAMは2個の事例が22社と最も多く、次いで3個の13社、1個の10社と続いている。1社当たりの平均個数は2.2個だった。一方、個別財務諸表では1個の事例が29社と最も多かった。内容としては、「固定資産の評価」「のれんの評価」「貸倒引当金の見積り」「収益認識」などが上位を占めている。
また、会社が未公表の情報についてKAMに記載した事例はほとんどなく(連結財務諸表で1件、個別財務諸表で3件)、多くの事例でKAMの記載に至る過程において経営者及び監査役等と監査チームとの間で追加的な開示に関する協議が実施され、KAMの記載に関連する追加的な開示がされていたと分析している。そのほか、KAMがないと判断された事例は、純粋持株会社等の個別財務諸表の監査報告書における事例を除きなかった。また、会社法の監査報告書にKAMを記載した事例は三菱UFJフィナンシャルGの1件であった。
■参考:公認会計士協会|監査基準委員会研究資料第1号「「監査上の主要な検討事項」の早期適用事例分析レポート」の公表について|
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20201012fba.html