被上告人は、上告人らに対して建物の一部明け渡しを命ずる仮執行の宣言を付した判決に基づく強制執行について民事執行法42条1項に規定する強制執行の費用で必要なものに当たる計161万円余を支出した。
被上告人が同費用を、上告人らによる建物部分の占有に係る共同不法行為による損害と主張、不法行為に基づき同額+弁護士費用相当額16万円余の計177万円余+遅延損害金の連帯支払い等を求める事案で最高裁第三小法廷は、被上告人の請求を認容した原判決の根幹部分を破棄した。
最高裁は、強制執行の申し立てをした債権者の損害賠償請求において、強制執行に要した費用のうち、民事訴訟費用等に関する法律2条各号の費目を損害として主張することは許されないと説示。▽原判決中、上告人ら敗訴部分のうち、上告人らに対し177万円余と26年4月23日から支払い済みまで年5分の割合による金員の連帯支払いを求める請求に関する部分を破棄▽上告人らに対し177万円余の連帯支払いを求める請求に関する部分について第1審判決を取り消し、被上告人の請求をいずれも棄却▽上告人らに対し26年から支払い済みまで年5分の割合による金員の連帯支払いを求める請求に関する部分について被上告人の請求をいずれも棄却―した。
■参考:最高裁判所| 不法行為による損害賠償請求事件(令和2年4月7日・第三小法廷・ 破棄自判)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89456