Weeklyコラム 休廃業決定の迷い

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休廃業・解散企業(以下、廃業と略す)が増えている(2019年版「中小企業白書」によると、2018年は前年比14.2%増46,724社)。

開業相談や事業承継相談は、各地の自治体や商工団体等で盛んに実施されているが、廃業に関する相談や研修はあまり聞かない。廃業は倒産とは異なるが、相対的に暗いイメージがある。現状の業績が黒字であっても、経営者が高齢で後継者がいなかったり、事業の将来性に不安があったりすると、廃業を考えるようだ。廃業の問題点は、経営者の決定と廃業の準備にある。

第一に、決定の迷いである。一般に、経営者が高齢や病気になれば事業承継を考える。しかし、後継者がいなくて事業譲渡も無理と判断すれば、やむを得ず廃業を検討する。この決定は迷いの連続である。例えば、経営者本人の生きがいや社員の生活はどうなるか、取引先の仕事に支障が発生しないか、等である。第二に、廃業に伴う準備である。例えば、買掛金の支払や借入金の返済は可能か、社員の退職金は払えるか、土地・工場・設備等の処分は出来るか、等である。廃業の際は、予想以上の金銭と意外な手間が掛かる。廃業は、経営者にとって人生の大きな締め括りである。今後は、より多くの公的支援策を期待したい。