上告人との間で期間の定めのある労働契約を締結して就労していた被上告人が、上告人による解雇は無効だと主張して上告人に対し、労働契約上の地位の確認と解雇の日以降の賃金の支払いを求める事案で最高裁第一小法廷は、
原判決中、被上告人の労働契約上の地位の確認請求および27年4月1日以降の賃金の支払い請求を認容した部分を破棄、前項の部分につき福岡高等に差し戻した。
最後の契約更新で被上告人の契約期間は26年4月1日から27年3月31日までとされたが、上告人は26年6月6日、同月9日付で解雇する旨の意思表示をした。この妥当性が争点。第1審、原審はともに、有期労働契約の契約期間中の解雇について規定する労働契約法17条1項にいう「やむを得ない事由がある」とはいえず、解雇は無効と判断。原審はさらに踏み込み、解雇の日から判決確定の日までの賃金の支払い請求を認容した。
この点について最高裁は、原審は最後の契約更新後の労働契約の契約期間が満了した事実をしんしゃくせず、契約期間満了により契約の終了の効果が発生するか否かを判断することなく、被上告人の契約上の地位の確認請求および契約期間の満了後の賃金の支払い請求を認容したと説示、上記の点は判断を遺脱したものだと指摘した。
■参考:最高裁判所|地位確認等請求事件・令和元年11月7日・第一小法廷(その他)|
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89020