取消訴訟で追加の主張許される 固定資産税で最高裁が逆の判断

LINEで送る
[`yahoo` not found]

鉄骨・鉄筋コンクリート造り陸屋根地下1階付き9階建て事務所を所有している上告人が、固定資産課税台帳に登録された建物の24年度の価格を不服として都固定資産評価審査委に審査の申し出をしたところ、棄却の決定を受けた。

上告人を相手にその取り消しを求める事案で最高裁第三小法廷は、審査申し出人は同委による審査の際に主張しなかった事由であっても、審査決定の取り消し訴訟でその違法性を基礎づける事由として主張することが許されるとし、上告人の訴えのうち、本件請求の趣旨変更に係る部分を却下、その余の部分につき請求を棄却した原判決を破棄、本件を東京高裁に差し戻した。上告人が審査の際に主張しなかったのは、本件建物の再建築費評点数算出の基礎とされた主体構造部の鉄筋とコンクリートの使用量に誤りがあるというもの。控訴を提起した際にこれを追加、請求の趣旨の変更をした。

原審は、取り消し訴訟で審査の際に主張しなかった事由を主張することは、特別の事情がない限り、地方税法434条2項、行政事件訴訟法8条1項ただし書の趣旨に反し、許されないなどとした。最高裁は、審査の際に主張しなかった違法事由を取り消し訴訟で主張することが地方税法等の趣旨に反するとはいえないなどと逆の判断をした。

■参考:最高裁判所|固定資産価格審査申出棄却決定取消請求事件(令和元年7月16日・第三小法廷・破棄差戻)

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88795