三重県志摩市所在の2筆の土地に係る固定資産税の納税義務者である上告人が、各土地につき志摩市長により決定され土地課税台帳に登録された27年度の価格を不服として志摩市固定資産評価審査委員会に審査の申し出をしたところ、棄却する旨の決定を受けた。
被上告人を相手にその取り消しを求める事案で最高裁第三小法廷は原判決を破棄し、名古屋高裁に差し戻した。上告人が商業施設を建設しようとした土地に設置が義務付けられた調整池の地目が宅地と認定され、登録価格が適用された。その適否が争点。原審は、各土地は宅地である商業施設の敷地維持に必要な土地と認められるから適法として上告人の請求を棄却。
最高裁は、開発行為の許可条件に従って調整池の用に供されていることから直ちに各土地が商業施設の敷地を維持、またはその効用を果たすのに必要な土地と評価することはできないと説示。調整機能の保持が許可条件になっていることを理由に、土地1の面積の80%以上に常時水がたまっているなど、各土地の現況等について十分に考慮せず、各土地は各登録価格が評価基準によって決定される価格を上回るものではないとした原審の判断には、固定資産の評価に関する法令の解釈適用を誤った違法があるとした。
■参考:最高裁判所|固定資産評価審査決定取消請求事件(平成31年4月9日・第三小法廷・破棄差戻) |
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88591