財務会計基準機構の基準諮問会議はこのほど、全国銀行協会から要望のあった会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」における当座貸越契約及び貸出コミットメントに関する規定の改正について、企業会計基準委員会の新規テーマとして取り上げないことを決めた。
金融庁が平成27年3月に追加した「自己資本比率規制に関するQ&A」では、一定の条件を満たした任意の時期に無条件で取消し可能なコミットメント又は相手方の信用状態が悪化した場合に自動的に取消し可能なコミットメントは、オフ・バランス取引として与信相当額として認識する必要がないことが明確化されたが、その結果、自己資本比率等計算上のコミットメントの扱いと金融商品実務指針における当座貸越契約及び貸出コミットメントの範囲に差異が発生することになったため、全国銀行協会が同実務指針の一部改正を求めていた。
しかし、基準諮問会議では、当座貸越契約及び貸出コミットメントは任意の時期に無条件で取消し可能かどうかにかかわらず、貸出において、一定の信用リスク及び流動性リスクに晒される可能性があるという点で、金融商品実務指針の考え方を変更するほどの大きな状況変化は生じていないなどと判断した。