中小企業では、就業規則に定年が60歳(65歳まで継続雇用)と定められていても、70歳以上の社員がかなりいる。定年まで勤めた社員は業務を熟知しており、給料が低くなっても継続勤務をする。また、若者の採用が難しいだけでなく、仮に採用出来たとしても社員の定着率が低いからだ。
なぜ簡単に中途退職(転職)してしまうのか。以前は、長く勤める人は確実に地位や給料が上がる年功序列制、また期待される程に仕事の成果が上がらなくても定年まで雇用が保障されていた終身雇用制があった。つまり、同じ会社に長く勤めている事が安定した人生の基礎だった。しかし、近年はいずれの制度も崩壊して、若者は退職や転職を気軽に行うようになった。
ところで、定着率を上げるポイントは、部下を管理する上司(経営者も含めて)の対応法にあるのではなかろうか。いくつか改善策を挙げてみる。(1)採用者の研修期間が終了すれば、仕事が出来るとみなす事が間違い。その後も知識・技法・行動手法等を繰返し指導し、「褒める・叱る」のコミュニケーションを欠かさないこと(2)上司は経験談(成功・失敗ともに)や自己の展望を話したり、部下の仕事を補助(例えば部下の営業に同行等)したりする。上司に対する認知や信頼が得られる。