抗告人を再生債務者とする小規模個人再生における住宅資金特別条項を定めた再生計画について、民事再生法202条2項4号の不認可事由の有無が争われた抗告審で 最高裁第三小法廷は、再生計画を認可した原々審の判断は不当だとして原々決定を取り消し、さらに審理を尽くさせるため本件を原々審に差し戻した原審の判断は是認できるとし、抗告を棄却した。
抗告人は税理士、相手方はその顧客。抗告人は相手方から債務不履行に基づく損害賠償請求訴訟を提起され、相手方は損害賠償債権を得た。抗告人は債務を履行せずに再生手続きを開始。所有する土地建物に設定された住宅ローン債権につき住宅資金特別条項を定めた上で同ローンを除く再生債権が90%免除される旨の再生計画案が可決された。相手方は即時抗告。
最高裁は、小規模個人再生において再生債権の届出がされ 、一般異議申述期間または特別異議申述期間を経過するまでに異議が述べられなかったとしても、住宅資金特別条項を定めた再生計画案の可決が信義則に反する行為に基づいてされた場合に当たるか否かの判断にあたっては、当該再生債権の存否 を含め、再生債権の届出等に係る諸般の事情を考慮することができると解するのが相当だとの解釈を示した。
■参考:最高裁判所|再生計画認可決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告(平成29年12月19日・最高裁判所第三小法廷)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87339