いわゆる来料加工取引を行う大手電機機器メーカーの香港子会社が外国子会社合算税制の適用除外要件(29年度改正前)を満たすか否かをめぐり争われた事件で東京高裁は、子会社の主たる事業は「製造業」であり、適用除外要件の一つである「所在地国基準」を満たさず、適用されると判断、会社側の控訴を棄却した。会社側は子会社の主たる事業を「卸売業」であるとし、適用除外の対象となると主張していた。一審の東京地裁に続く敗訴。
報道によると、東京高裁が香港子会社の主たる業務を「製造業」だと判断した根拠は、▽各工場等で使用する光熱費等のすべてを支払い、日常的な補修や保全の責任を負い、管理費を負担▽各工場の生産設備や製品の原材料・部品等を提供▽各工場で稼働する人員のほとんどが子会社からの出向者と子会社が各工場名義で雇用した工員。管理職の任免も子会社が行っている▽子会社から中国法人に対して支払われる加工料は製品の販売価格や数量など委託加工で生じる損益の影響を受けず、各工場で製品を製造することで生じる損益の帰属主体は子会社である―など。
来料加工取引とは、日本法人の香港子会社が中国法人に原材料等を無償で提供、中国法人の工場等で製品の加工・組み立てを行ってもらう取引のこと。