最高裁第二小法廷は保証契約に基づき保証債務の履行を求めた事案で、被上告人の請求を全部認容した原判決を破棄、被上告人の控訴を棄却した。上告人が被上告人と締結した保証契約に基づく保証債務履行請求権の時効消滅を主張したのに対し、被上告人は上告人に対する貸金の支払いを求める旨の支払い督促により消滅時効の中断の効力が生じていると主張、争っていた。
問題の支払い督促は債務弁済契約公正証書を基に申し立てられたものだが、同証書は、上告人の関係者が被上告人から借り入れた債務を連帯保証する趣旨で作成されたもの。第1審は被上告人の請求を棄却したが、2審は一転してこれを認めた。
最高裁は▽貸金返還請求権の根拠となる事実は、保証契約に基づく保証債務履行請求権と重なるものですらなく、むしろ保証契約の成立を否定するものであり、貸金返還請求権の行使は保証契約に基づく保証債務履行請求権の行使と相容れない▽支払い督促において貸金債権の行使により、これとは別個の権利である保証契約に基づく保証債務履行請求権についても行使されたことと評価することはできない▽支払い督促は保証債務履行請求権について消滅時効の中断の効力を生ずるものではない―と説示、被上告人の請求は理由がないとした。
■参考:最高裁判所|貸金請求事件(平成29年3月13日・第二小法廷)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86588