日本貿易振興機構(ジェトロ)はこのほど、英国のEU(欧州連合)離脱(Brexit)問題を取り上げたセミナー「Brexitと日本企業への影響~ロンドン・ブリュッセルからの最新報告」を開催した。セミナー冒頭でクリス・へファー駐日英国大使館貿易・対英投資部ダイレクターは「テリーザ・メイ新首相のもと、英国政府は投資環境の維持を最重要案件ととらえている」として日本からの継続的投資を呼び掛けた。
次いでジェトロの坂口ロンドン所長は「少なくとも2年間は現状の単一市場が維持される」と説明。その間日本企業の要望等を集約、英国に伝えていく。日本機械輸出組合の福永哲郎ブラッセル事務所長は「英国とEUは経済の面では離れ、競合が強まるが、外交戦略的にはより強固になる可能性もある。今後英国はヨーロッパにおいて、アジアの香港やシンガポールのような存在になるかもしれない」との見解を示した。
質疑応答においては、シティ(ロンドン金融ビジネス)の行方を問われたのに対し「EU各国は決済機能をロンドンから大陸に移すので、その影響は免れない」や「フランス語、ドイツ語圏にどれだけ移るのか、またテロの懸念等もあるので、シティは単純には終わりにならない」など、先行き予測の困難さがうかがえた。