国税庁が富裕層PT発足 国内外の動向を広く情報収集
国税庁は先般、「富裕層プロジェクトチーム(PT)」を発足させた。富裕層の投資行動やタックス・プランニングに関する情報収集ノウハウを充実させ課税上のリスク分析手法を開発するほか、今後あるべき組織体制の検討に取り組む。 PTは同庁のほか、富裕層の集中する東京・大阪・名古屋の国税局に設置。関係各課(課税総括課、個人課税課、資産課税課、法人課税課、等)の補佐クラスによる協議体で構成され、中でも東京局及び大阪局では、その下に各税目の実務経験豊かな調査官らが専担者として配置された。
PTでは資産規模のみならず、海外で行われる見えにくい資産運用などについて情報収集に力を入れる。例えば、個人がオフショア地域に資産管理会社を設立して資産を法人株式に換えるケースが挙げられる。情報収集を強化し、資産運用の経年変化も把握することで、将来の相続税課税も見据えた長期スパンで取り組む方針。また課税上のリスク分析を行うことで、どのような資産運用の形態に調査の力点を置いていくかの検討もなされていくことになる。
国外財産調書制度が始まり、外国税務当局との情報ネットワークの拡充によって情報把握手段のインフラが整ってきたことも、PT発足の背景の一つとなった。