企業会計基準委員会は年内にも「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」を正式決定する予定だが、公開草案から大きく変わった点は、適用初年度の取扱いだ。
今年5月公表の公開草案では、新しい適用指針を適用しても、会計基準等の改正に伴う「会計方針の変更」として取り扱うとし、適用初年度の期首の影響額については利益剰余金に計上するとされていた。しかし、3つのケース以外は、従来の監査上の取扱いの見直しにすぎないと判断。損益に計上することを容認している。
具体的に「会計方針の変更」として利益剰余金に計上するのは、(1)分類2の企業において、スケジューリング不能な将来減算一時差異について回収可能であることを合理的に説明できる場合には回収可能性があるとする取扱い、(2)分類3の企業において、おおむね5年を明らかに超える見積可能期間においてスケジューリングされた一時差異等に係る繰延税金資産が回収可能であることを合理的に説明できる場合には回収可能性があるとする取扱い、(3)分類4の要件に該当する企業であっても、将来において一時差異等加減算前課税所得が生じることを合理的に説明できる場合には分類2に該当する取扱いの3つのケースに限定される、としている。