中小企業庁は2015年版中小企業白書を公表した。白書は第1部2014年度の中小企業・小規模事業者の動向、第2部中小企業・小規模事業者のさらなる飛躍、第3部「地域」を考える―自らの変化と特性に向き合う―の3部構成。それぞれの内容を3回に分けて紹介する。1回目は第1部。
従来、大企業と中小企業・小規模事業者の間には相互依存関係が存在し、中小企業・小規模事業者は大企業が市場から獲得してきた需要の恩恵を享受してきた。だが、グローバル化の進展等を背景にそうした関係は希薄化。中小企業等は自ら市場と向き合い、需要獲得の必要に迫られている。
2000年代に入り、大企業と中小企業・小規模事業者は再びともに成長しているが、中小企業・小規模事業者については、同じ規模の企業同士の間で収益力に差が生じつつある。差は拡大傾向にあり、特に小規模企業同士の間で拡大。低収益企業の収益力がどんどん低下する一方で、高収益の小規模企業の収益率は大企業をも凌ぐに至っている。収益力向上に向けた課題として「新規顧客・販売先の開拓」を挙げたのは高収益企業、低収益企業ともにほぼ同じ。だが、「優秀な人材の確保・人材育成」、「技術開発の拡大」を挙げたのは、高収益企業の方がずっと多かった。
■参考:中小企業庁|2015年版中小企業白書|
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/index.html#jirei