令和7年版通商白書では、まず、米国の関税ショックや「双子の赤字」(経常・財政収支の同時悪化)への懸念が世界経済を不透明化させており、国内格差の拡大や中国の消費抑制など構造的課題が不確実性を増していると分析した。
また世界経済の分断リスクが指摘されており、公平で透明、強靱なサプライチェーン構築が急務とした。さらに、中国経済の急成長は規模の経済の歪みや価格競争を招き、周辺国の依存度増大につながっているとした。国内輸出動向では、進行する円安にもかかわらず輸出数量が伸び悩み、間接輸出(部材企業)の育成と海外展開が課題とされた。製造業・部材分野の企業が新市場に進出し、中堅企業も含めグローバル競争力強化に努める必要性を強調している。
産業政策面ではDX、GX、サプライチェーンの強靱化を柱としつつ、これらの進展に伴う市況歪みや依存関係の地政学的利用への対応も急務とした。特に、国内の高付加価値化・海外投資によるイノベーション取り込みと、自律性の観点から供給網多元化が重視されている。これらを踏まえて「通商戦略2025」では、〇不安定化する国際経済秩序への対応〇DX・GXによる付加価値創出と海外市場開拓〇サプライチェーンの強靱化・経済安全保障の確保へとまとめられた。
■参考:経済産業省|2025通商白書|