上告人は、風営法2条7項1号の無店舗型性風俗特殊営業を営む事業者として、新型コロナウイルスによる影響を受けた中小法人等向け持続化給付金・家賃支援給付金の支給要件に適合し、風営法上の制度規程に違反しないにもかかわらず、不支給扱いとされたことは、憲法14条1項(平等原則)及び22条1項(職業選択の自由)に反すると主張した。
原審は、本件各給付金は中小法人等の事業継続支援を目的とし、本件特殊営業は身体的接触を伴う性的サービスを不特定客に提供し、風営法により届出制で規制される性質上、国がその健全化を想定できない業態と位置づけているため、公費を投じて継続支援する義務はないとした。
最高裁は、本件特殊営業が善良風俗や環境保持が懸念される業種であることは合理的根拠に基づく区別であると認定した。また、接客従業者が尊厳棄損を招くおそれも否定できず、公費での継続支援が相当ではないと評価。その上で、本件各給付金が特定目的のための政策措置であり、その趣旨範囲内で対象者を限定する裁量は許容されるとした。また、憲法22条1項についても、不支給措置が職業選択の自由を直接制約していないとして違憲とは認められないと判断した。よって、上告を棄却し、不支給処分は合憲との判断を維持した。
■参考:最高裁判所|無店舗型性風俗特殊営業を行う事業者に対して持続化給付金給等の各給付金を給付しないことは、憲法14条1項に違反しないとした判例(令和7年6月16日・第一小法廷)|