中小企業等の賃上げ力強化 5か年計画の基本方針を発表

政府は、2025年度の経済財政運営の基本方針として、中小企業・小規模事業者の「賃上げ力」の底上げを目的とする5か年計画を打ち出した。本計画は2029年度までの中長期を視野に入れ、持続的な賃金上昇を実現し、実質賃金が物価上昇を上回る「成長型経済」への転換を目指すものである。

第一に、価格転嫁と取引の適正化、とりわけ下請事業者における「労務費の適切な転嫁」が制度化され、官公需契約においては物価や人件費上昇分を契約価格に反映するルールの徹底が図られる。

第二に、生産性向上と省力化投資の促進として、人手不足の深刻な12業種(飲食、小売、介護、建設など)を対象に、省力化投資促進パッケージを実施する。

第三に、事業承継とM&A支援の強化として、全国約336万事業者に対して支援体制を整備し、信用保証依存の見直し、融資制度改革、M&A仲介支援を重点的に進める。

第四に、医療・介護・保育分野を中心に地域人材の処遇改善が図られる。併せて、AI・デジタル化対応のためのリ・スキリング(再教育)支援や、短時間正社員制度・勤務間インターバル等の柔軟な働き方導入を支援する。

今後、最低賃金の全国加重平均1,500円の早期達成を目指しつつ、中小企業の構造転換と価格転嫁力の確保を進める。

■参考:内閣府|経済財政運営と改革の基本方針 2025(案)~「今日より明日はよくなる」と実感できる社会へ~|

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2025/0613_shiryo03.pdf