内閣府の規制改革推進会議はこのほど、「規制改革推進に関する答申」を取りまとめ公表した。当該答申は、特に高齢化や人口減少という社会的背景を踏まえ、民事信託の制度的活用促進が、重要テーマとして明確に位置づけられている。
答申では、民事信託の活用が限定的である現状を踏まえ、その原因として(1)制度認知の不足(2)実務上の不透明性(3)金融機関の消極姿勢などを挙げており、制度普及と実務運用の円滑化を両面から推進するための施策が提示された。
具体的には、法務省を中心に、親族間信託や財産管理信託などの活用事例を含むパンフレットやWeb上のコンテンツを整備し、遺言や成年後見制度との相違・補完関係も含めて、制度理解の促進を図る。
また、金融庁が金融機関の信託口座対応に関する実務課題を明確化し、例えば受託者変更時の対応や差押え発生時の処理方法、契約終了時の資金返還方等を、ガイドライン等により統一的な取り扱いを図る。さらに、公正証書作成のデジタル化を検討課題として示し、信託契約締結の利便性の向上を図る、等を提示している。
今後専門家との一層の連携を進め、制度設計と実務運用の両輪から利便性の向上と活用拡大に努める必要がある、としている。
■参考:内閣府|規制改革推進に関する答申(案/令和7年5月28日・規制改革推進会議)|
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/250528/250528general_01_2.pdf