帝国データバンクは「2024年度の人手不足倒産の動向調査」結果を発表した。それによると、人手不足倒産(負債1000万円以上)は、24年度は350件(前年度313件)で、2年連続で過去最多を更新した。15年度以降の推移を見ると、22年度までは200件を超えることはなかった。同社は「政府が最低賃金を20年代に全国加重平均1500円へ引き上げると表明したことから、賃上げ気運は加速。さらに、より良い待遇を目指す動きが強まったことで転職者数が増加しており、特に中小企業にとって人材の確保・定着は厳しい局面を迎えている。適正な価格転嫁が進まない状況が続くと、賃上げ余力のない小規模事業者を中心に、人手不足倒産は高水準で推移することが見込まれる」としている。業種別では、建設業が前年度比17件増の111件で最も多く、初めて100件を上回り、全体の約3割を占めた。次いで多いのは物流業の42件(前年度比4件減)で、前年度からは減少したが、引き続き多くを占めた。両業種ともに以前から深刻な人手不足の影響による倒産が多発していたが、24年4月に時間外労働の新たな上限規制が適用された「24年問題」を受けて、人手不足倒産が引き続き高水準で発生し続けている。
■参考:帝国データバンク|人手不足倒産の動向調査(2024年度)|
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250404-laborshortage-br24fy/