帝国データバンクが発表した2024年度の焼肉店の倒産(負債1000万円以上)件数は55件で、前年度(27件)から倍増して過去最多となった。輸入牛肉や野菜などの原材料、人件費の高騰など経営環境が厳しい中で、小規模店や異業種からの参入店では値上げが難しく、損益面で苦戦したことが主因。同社は「個人営業など小規模店の閉店や廃業を含めれば、実際はより多くの焼肉店が市場から退出した。今後も原材料価格や運営コストの高止まりが予想され、25年度も倒産件数が高水準で推移する」とみている。
24年度の焼肉店の損益動向を見ると、赤字は約2割にとどまり、減益を含めた業績悪化の割合は、コロナ禍で焼肉需要がピークを迎えた21年度以来3年ぶりに5割を下回った。既存の焼肉チェーンでは、大量仕入れなどの低コスト運営を強みとした割安な食べ放題メニューを充実させてファミリー層などの需要を取り込み、コスト増を売り上げの増加でカバーする動きが目立った。半面、異業種から出店した企業や小規模な焼肉店では、客離れを警戒して十分な値上げに至らず、損益面で苦戦するケースも見られ二極化が進んだ。結果的に、消耗戦に耐え切れない中小焼肉店が淘汰され、倒産件数を大幅に押し上げた。
■参考:帝国データバンク|「焼肉店」の倒産動向(2024年度、速報)|
https://www.tdb.co.jp/report/industry/20250401_yakiniku24fy/