税務当局は特定口座内保管上場株式等の譲渡所得の計算上、取得費は特定口座への受入れ記録に基づき、金融商品取引業者等が一元的に計算することが予定されており、租税特別措置法第37条の11の3関係通達は、特定口座内保管株式等の譲渡所得の計算において概算取得費を使用することを認めていないとし、更正処分および過少申告加算税等を課した。
審査請求人は、特定口座内保管上場株式等の譲渡所得の金額を申告する際、特定口座内保管株式等の譲渡による所得とそれ以外の株式等の譲渡による所得を区分して計算することが規定されているため、取得費を含めて譲渡所得の金額を再計算できる等とし、納税者が概算取得費を使用して譲渡所得の金額を計算することは妨げられていないと主張した。
国税不服審判所は、特定口座内保管上場株式等の譲渡所得の計算において、取得費は金融商品取引業者等が一元的に計算することが予定されており、納税者が概算取得費を使用することはできない。また、措置法通達37の11の3-14が概算取得費を認めていないのは、特定口座内保管上場株式等の譲渡所得の計算において概算取得費を認めない趣旨である。よって、不服申請は棄却された。
■参考:国税不服審判所|特定口座内で譲渡した上場株式等の取得費を概算取得費とすることはできないとした事例(令和6年4月22日・裁決)|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0406011100.html#a135