被上告人は、インスタグラムの投稿により権利を侵害されたとして、本件アカウントへのログインのために行われた8回の通信に関する情報の開示を請求した。インスタグラムの利用者は、パスワード等を送信してアカウントにログインしなければ投稿できず、運営者はログイン時のIPアドレスと通信日時を記録している。本件投稿者は、令和3年4月29日に被上告人の写真を無断で掲載し、その内容は、社会生活上受忍すべき限度を超えて、被上告人の人格的利益を侵害するものであった。投稿者は令和3年5月20日から同年6月13日までの間に8回のログインを実施。プロバイダはこれらのログイン情報を保有している。原審は、改正前プロバイダ責任制限法4条1項の規定が適用され、「権利の侵害に係る発信者情報」に当たるなどとして、本件請求をいずれも認容すべきものとした。最高裁判所は、改正後法に基づく発信者情報の開示が求められるべきとされ、改正後法5条2項の規定により、少なくとも侵害情報の送信と最も時間的に近接するログイン通信が「侵害情報の送信と相当の関連性を有するもの」に該当するとし、発信者情報の開示が求められるとした。本件ログインは一件を除き、開示の必要性が認められず、開示請求は棄却された。
■参考:最高裁判所| 発信者情報開示等請求事件( 令和6年12月23日・ 最高裁判所第二小法廷)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=93648