厚生労働省は令和4年度個別労働紛争解決制度施行状況を公表した。総合労働相談件数は124万8,368件(対前年度比0.5%増)となり、15年連続で100万件超えとなった。助言・指導申出は5.9%減、あっせん申請は7.1%減となり、前年度同様減少している。
経営者として注目すべきは、民事上の個別労働紛争の相談、助言指導申出、あっせん申請の全項目で「いじめ・嫌がらせ」の件数が引き続き最多となっていることだろう。個別労働紛争で11年連続、助言指導で10年連続、あっせんでも9年連続で最多となり、一向に減少する兆しが見えない。解雇や労働条件の引下げについては減少または現状維持が続くものの、職場におけるいじめや嫌がらせは一向に減らない事実がある。
職場におけるそのようなハラスメントは、社員の精神疾患や最悪の場合、自殺などにつながりかねず、企業として大きなリスクとなり得る。経営者が把握仕切れない現場レベルでの深刻ないじめや嫌がらせの事案は近年、枚挙にいとまがない。事件・事故が起きてから「知らなかった」ではすまされない。重大な事故が起きる前に、自社ではそのような事態が起きていないかどうか、常に確認すべきだろう。
■参考:厚生労働省|「令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します|
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_00132.html