コペルニクスが唱えた「地動説」をご存じであろう。地球は宇宙の中で不動のままではなく、太陽の周りを自転しながら廻っているというものである。それまで大抵の人は、朝太陽が昇って夕方太陽が沈むので、太陽の方が動くと考えていた(天動説)。
経営者や従業員等から各種相談を受けていると、相談者は相手の言葉や態度・行動によって自分の心境や行為が決定されると勘違いしている場合が多い。「同僚の言葉遣いや態度が悪い」「上司が自分の話を真剣に聞いてくれない」「社長が自分だけに残業をさせる」、等。簡単に言えば、自分にとって都合の悪い結果は、全て相手に原因があると思っている。自分の言葉・態度等によって相手が反応している事に気づかない。
このような時、相談を受ける人はどう回答したら良いか。相談者に向って、いきなり非難する事は有効ではない。最初は、相談者の憤りや煩悶をしっかりと聞く。まず、信頼関係を作る事が一番大事だ。
その後、「あなたがどんな発言・態度・行動をした時に、相手が不愉快な事をしますか」等と、相談者の行為を中心に相談を進める。相手の言葉・態度・行動等は、自分の行為が原因で触発されている事を穏やかに話す。物事の因果は、相談の場合に限らず、立場を入れ替えて考えてみれば良い。