非上場会社の譲渡制限株式(本件株式1、本件株式2)について、相手方会社が抗告人らに対し売買価格の決定の申立てをした事案。
平成28年2月に本件各株式について、抗告人らが会社法136条の規定による譲渡承認請求を相手方会社に行うが、同年3月、相手方会社は抗告人に譲渡承認をしない旨通知した。同年4月相手方会社は抗告人に対し、本件各株式を買い取る旨通知し、原々審に本件各申立てをした。
原審において、鑑定評価の評価方法としてDCF法を用い、本件株式1は1株7524円、同じく本件株式2は6448円とし、売買価格は非上場株式なので市場性がないことを理由に評価額から30%減価を行った。抗告人はDCF法での本件評価額から非流動性ディスカウントを行った判断には、法令解釈の誤り及び判例違反があるとした。
最高裁は、会社法144条2項は、譲渡制限株式が譲渡承認されない場合の、当該譲渡に代わる回収手段の保障とされたものであり、減価が相当と認められるときは、当該譲渡制限株式が任意に譲渡される場合と同様に、非流動性ディスカウントを行うことができると解される。また減価の二重性も該当されず、DCF法が用いられたとしても変わるところがない、として所論に対する原審の判断は正当とした。
■参考:最高裁判所|譲渡制限株式の売買価格の決定の手続においてDCF法によって算定された上記譲渡制限株式の評価額から非流動性ディスカウントを行うことができるとされた事例(令和5年5月24日・第三小法廷)|
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92103