Aの遺言執行人である被上告人が、本件土地につきAの遺言の内容に反する登記がされているなどと主張し、所有権移転登記を受けた上告人らに抹消登記手続等を求めた事案。
平成5年11月、夫Bが本件土地を取得し移転登記を済ませたのち平成20年6月死亡。妻Aと子供2人(C、参加人)が相続人で、Cは放棄しAと参加人が1/2ずつ相続。Aは平成21年7月公正証書遺言で、Cに1/2相続、Cの子Dに1/3遺贈、参加人の子Eに1/6遺贈とした。平成23年に参加人は本件土地取得の協議が成立したとしたが、Aは反対。平成23年2月A死亡。被上告人が裁判所にて遺言執行人に選任。Eは遺贈を放棄。平成23年6月参加人が、上告人等に本件土地を譲渡、移転登記を済ませる。被上告人は本件土地の1/2はAの相続財産であり、処分行為は無効として抹消登記手続きを請求。
原審は、被上告人が原告適格ありとして、一部容認。上告人は、Dが受けるべき持分1/6を除く本件相続分に係る訴えについては原告適格を有しないと主張。最高裁は被上告人の請求のうち、上告人らの持分2/3は訴えを却下すべきで、それ以外は上告人持分を5/6とする所有権一部移転登記への更生手登記手続を求める限度で容認するとし、その余を棄却すべきとした。
■参考:最高裁判所|共同相続人の相続分を指定する遺言がされた場合の、遺言執行者と不動産の所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えの原告適格(令和5年5月19日・第二小法廷)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92085