医療法人社団冠心会を再生債務者とする再生手続きで行われた再生計画認可決定に対し、再生債権者である各抗告人が民事再生法174条2項3号等に該当する事由があると主張して即時抗告をしたところ、原審が棄却決定をした。
各抗告人がさらに抗告をした事件で最高裁第二小法廷も棄却した。冠心会の再生手続きと、同会と取引関係のあった医療機器等の転売会社(株)エーエヌディーの再生手続きがほぼ同時進行で行われ、両者間の債権債務関係について精査する過程でその処理が懸案として浮上。冠心会の管財人は様々な法的手続きを試行。最終的に再生裁判所の許可を得た上で和解契約を締結した。骨子は、再生計画認可決定が確定した時は、エ社は冠心会に解決金を支払い、これを対当額として債権関係を相殺するという内容。
最高裁は▽契約締結はエ社に一方的に有利なものではなく、冠心会にとっても合理性がある▽契約内容、冠心会の置かれていた客観的状況、契約締結の経緯等にも照らせば、契約が専らエ社の議決権行使に影響を及ぼす意図で締結されたとまではいえない▽契約締結がエ社に不正な利益を供与するものとも信義則に反する行為に当たるとも断じ難い▽再生計画の決議が不正の方法で成立するに至ったとまではいえない―などとした。
■参考:最高裁判所|再生計画認可決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件(令和3年12月22日・第二小法廷・棄却)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90820