政府税調では先般、第6回の納税環境整備に関する専門家会合が開かれた。6月に国税庁が発表した「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション―税務行政の将来像2.0―」にあるように、デジタルを活用した、国税に関する手続や業務のあり方の抜本的な見直しが図られる。
申告・申請等の簡便化、自己情報のオンライン確認、チャットボットの充実、プッシュ型の情報配信などにより納税者の利便性が向上し、あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会を目指す。中でも申告については、マイナポータルからログインし、給与や年金の額、医療費の支払額等のデータを自動で取り込んで所得税を自動計算し、数回の操作で申告が完了する仕組みを実現させる。各データのうち、特定口座取引の取引金額、生命保険料の保険料支払い額、住宅ローンの年末残高についてはすでに1月から一部の証券会社、保険会社、金融機関で対応が始まっており、順次拡大する見込み。
一方、申告内容の自動チェック、AI・データ分析の活用、照会等のオンライン化、Web会議システム等の活用などによる課税・徴収の効率化・高度化で、租税回避や消費税不正還付、大口・悪質事案への対応や、富裕層に対する適正課税の確保が比較的容易になることが期待される。
■参考:国税庁|政府税制調査会説明資料〔記帳の状況などに関する税務執行上の課題について〕令和3年8月10日(火)|
https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/3noukan6kai1.pdf