「柳は緑、花は紅(くれない)」元々は禅宗から出た言葉とされ、物事は様々という意味である。植物であれば、薬になる草、毒になる草、食用になる草、とそれぞれの性質や働きは千差万別であり、しかも自然界では一体となっている。
さて、販売店等の接客マニュアル等を作成していて、常に疑問に感じる事がある。「お客は、このような規格化されたサービスを歓迎しているのだろうか」と。店舗規模が大きく、統一された接客システムで平等に接客する事が求められる場合はしかたない。また、店員の接客レベルが低く、水準以上の接客サービスを教育訓練する為には必要かもしれない。しかし、店員が数人規模の店舗で、敢えて接客言葉や表情まで統一する必要があろうか。また、経営成績の向上に効果があろうか(これが決め手)。
接客指導をしてきた経験で言うと、元々活気のある店舗でうっかり接客マニュアルを導入して後悔した事がある。個性的な店員の接客ノウハウ、日常会話を通して親しみの持てる雰囲気作り、店員とお客が顔なじみだから気軽に入れる店舗作り等が中小商店の意外な経営資源ではなかろうか。平等な接客は大切であるが、お客は「個性を持った特定の存在」と自分を認めてくれる店舗のサービスを歓迎するものだ。