正社員から業務委託への転換 「労働者性」に注意が必要

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大手企業を中心に、働き方改革の一環として働き方の多様化を積極的に取り入れ始めている。主な取組みとしては女性や高齢者、障害者の雇用、治療就労両立支援の取組みとなるが、一歩先を見据えて社員ではない働き方を導入する事例が出始めている。

最近話題になった大手企業における「正社員」から「業務委託」への変更では、労使双方のメリットを強調している。従業員のメリットは「主体的な労働」「副業等の自由」「手取収入の増大」、事業主のメリットでは「残業規制の撤廃」「社会保険料の軽減」「生産性の向上」としているが、雇用類似の働き方においては労働者性判断基準があるため注意が必要だ。

「業務遂行上の指揮監督」「諾否の自由」「時間的・場所的拘束」「報酬の額」「機械・器具等の負担関係」等に鑑み、また「委託等の際の選考過程が正規従業員と同様」「報酬においての源泉徴収」「服務規律を適用」等、事業主が労働者と認識していると推認される場合、業務委託ではなく労働者と判断され、社会保険やその他の手続において罰則の適用や支払義務が生じる可能性がある。

企業としてのリスクや法的な問題点に注意し慎重に採用するとともに、従業員には収入、社会保障の違い等の十分な説明が必要不可欠となる。