亡Bを養親、亡Cを養子とする養子縁組届に係る届書が22年10月、徳島県のa町長に提出された。亡Bは亡Cとその実姉の叔父の妻。被上告人は実姉の夫。上告補助参加人は亡Cの妻。
被上告人は、25年12月に死亡した亡Bの22年7月11日付の自筆証書遺言により相続財産全部の包括遺贈を受けた。被上告人は28年1月、亡Cから遺留分減殺請求訴訟を提起された。亡Cが29年10月に死亡したため、上告補助参加人は訴訟を承継。被上告人が養子縁組の無効確認を求める上告審で最高裁第三小法廷は原判決を破棄し、被上告人の控訴を棄却した。
原審は、被上告人が養子縁組の無効の訴えにつき法律上の利益を有しないとして訴えを却下した第1審判決を取り消し、第1審に差し戻した。最高裁は▽養子縁組の無効の訴えを提起する者は、養親の相続財産全部の包括遺贈を受けたことから直ちに訴えにつき法律上の利益を有するとはいえない▽被上告人は亡Bとの間に親族関係がなく、亡Cとの間に義兄(2親等の姻族)という身分関係があるにすぎない▽養子縁組の無効により自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けず、無効の訴えにつき法律上の利益を有しない―と説示。被上告人の訴えは不適法であり、却下した第1審判決は相当だとした。
■参考:最高裁判所|養子縁組無効確認請求事件・平成31年3月5日・第三小法廷・破棄自判|
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88460