特定の会社や個人宅を回って商品・サービスを売り込む仕事には、飛び込み営業もあれば、アポイントメントを取って訪問する営業等がある。非常に多種多様である。社員の性格や職務経験等により、営業の仕事には得手不得手があり、ある日突然営業担当に指名されて悩む人もいる。
X社(食品機械の製造業)のA氏は長く資材調達や人事を担当していた。ところが、他社との合併に伴って新規開拓営業の部署に異動した。性格上、初対面の人とコミュニケーションを取る事に心理的抵抗があり、大胆になろうと努力すると言葉が思うように出なくなってしまった。A氏は、「準備を十分にして、自信を持って臨むように心掛けています。しかし、相手を説得しようとすると言葉が出なくなります」と言う。
一般に、次のような対応策が考えられる。(1)大胆になれと部下を励ます事は、度を超えれば害がある。本人も、そのような努力で苦悶している(2)恐い、恥かしいという気持ちを持たないで訪問しようと考えない事である。ビクビクしながらでも、とにかく訪問する(3)始めから完全を求めず、現場で対応する部分がある事を認める(4)お客に勝つ事が営業ではない。交渉には、「少し負けておきます」という態度が必要だ。営業は人間修養の実践である。