従業員の入社の際、雇用保険の資格取得手続きを失念していた、またはその必要性を理解していなかったなどの理由により、資格取得手続きを怠るケースは実務上よく発生する。その場合、遡及する期間によって必要となる添付書類を用意した上で、遡って資格取得の手続きを行わなければならない。しかし、資格取得手続きの対応はできても、その際に労働保険料の再確定申告や追加納付にまで思いが至らないケースも多い。
たとえば、その年度の労働保険料の年度更新を行った後に、前年度に遡及して雇用保険の資格取得手続きを行った場合、その者にかかる雇用保険料の納付が漏れていることになる。そのため、労働保険料の再確定申告及びそれに伴う追加納付が必要となるわけだ。
年度更新を行う前に前年度に遡及して資格取得を行った場合は、最終的な労働保険料の年度更新の際に帳尻を合わせることも可能だが、年度更新後ではそれも不可能となる。各都道府県労働局ではそのような雇用保険被保険者資格の遡及取得について、労働保険料の再確定申告及び追加納付を呼びかける文書の配布を行っている。適正な対応を行わない場合は労働局による労働保険料算定基礎調査が実施されることもあるので注意が必要だ。