保育園運営事業者の倒産等 2025年は過去最多に

帝国データバンクの調査によれば、2025年上半期(1~6月)における保育園運営事業者の倒産・休廃業・解散件数は22件に達し、前年同期(13件)から約7割増加した。これは2024年通年の31件に迫る水準であり、2025年は過去最多記録を更新する見込みである。

この背景には、政府による幼児教育・保育の無償化開始(2019年10月)や「こども誰でも通園制度」導入による保育ニーズの拡大がある一方で、少子化や全国的な待機児童の解消による施設供給の増加が入園希望園児の獲得競争を激化させている点がある。

さらに、保育士の採用および定着難が深刻であり、適切な人員配置が困難なケースが増加している。2023年度の保育園運営事業者の損益動向を見ると、「減益」25.2%、「赤字」29.1%を占め、業績悪化は合計54.3%に達した。保育士の給与引き上げに伴うコスト負担の増加、給食等の食材価格の高騰も圧力となり、特に中小規模の事業者では収益の維持が困難となっている。

一方、全体の4割超の事業者は増益を達成しており、英語や音楽、スポーツ等の専門プログラムの導入、認定こども園への移行による給付加算獲得、発達障害児支援施設の新設や関連分野への進出など、差別化を目指す取り組みも進んでいる。

■参考:帝国データバンク|「保育園」の倒産・休廃業解散動向(2025年上半期)|

https://www.tdb.co.jp/report/industry/20250709-hoikuen25y/